SALE! 40% OFF!!
この『In My Shoes』は後続の面々が超えるべきひとつの基準となるに違いない。
年齢は問題じゃないが、瑞々しいラップが 23 歳という若さを証明してくれる。
世代にこだわりすぎるのは馬鹿げているが、どう考えても存在感がフレッシュすぎる。
柔軟に曲がりくねったり、鋭く突き刺したり、まるでスライムのように形を変えるメロディアスなフロウにはリル・ウェインやドレイクにも通じるマイルドな柔軟さがある。
ウィズ・カリファの脱力した雰囲気もあるし、SEEDA 以降のエモーショナルな側面も備えている。そして何より、彼の言葉には、これまでラッパーとして、人間として培ってきた経験が、洞察に優れた独特のリリシズムという形で封じ込められている。
SALU は 88 年生まれ。出身は北海道で、神奈川の厚木を現在の拠点にしている彼は、4 歳でドクター・ドレーの“Let Me Ride”を聴き、音楽に出会ったという。
自分でもラップを書きはじめたのは 14 歳の頃。
MONSTARS STREET に所属して頭角を表した彼は、SCARS の“CASH & THE CASHER”にフックアップされて脚光を浴び、
2011 年に入ってからは、SIMON の“Change My Life”、SEEDA の“黙る時代は終わり”、JAY’ED の“ブレイブ・ハート”、KYN の“SILENT POWER”、MAJOR MUSIC による東日本大震災のチャリティー・ソング“空のむこう”……といった話題のリリースに次々と参加。
さらにはサイト〈JPRAP.COM〉の好企画『The Se7en Deadly Sins』における“Sunday Afternoon”などを通じて、オンライン上でのプロップスも集めてきた。
そして、DJ ISSO の『Best Of Japanese Hip Hop Hits 2011』に提供した BACHLOGIC 制作のエクスクルーシヴ曲“Swim In My Pool”と、ミックステープ『Before I Signed』という盤石のセットアップを経て、ついにファースト・アルバム『In My Shoes』が BACHLOGIC の主宰する新レーベル=One Year War Music から登場する。BACHLOGIC といえば、SEEDA『花と雨』(06 年)や NORIKIYO『OUTLET BLUES』(08 年)のトータル・プロデュースをはじめ、EXILE や加藤ミリヤ、JAY’ED、RHYMESTER らにヒットを授けている日本のトップ・プロデューサーである。もうひとり、同じく SEEDA や詩音との仕事で知られる旧知の OHLD(7070Production)もプロデュースに参入。
ストリート・シングルの“Stand Hard”をはじめとするキャッチーなフロア・バンガーから、鋼田テフロンの歌うメイン・シングル“The Girl On a Board”のように瑞々しいポップ・センスが漲る楽曲、ダブステップを取り入れた“The Watcher on Woods”やグライミーな“Burn It”のようなハイブリッド系、ドレイクにも通じるアンビエントな“夢から醒めた夢”まで、楽曲ごとのスタイルは実にカラフル。アルバム全体の構成も巧みで、耳に入ってすぐ全身を駆け巡るような即効性のあるトラックと、じっくり胸に染み込んでくる楽曲が良いバランスで織り交ぜられている。
そして、何気ない日常や社会の状勢といったテーマを等身大の視点で切り取り、真摯な語り口とフレキシブルなフロウで綴った中毒性のあるラップには魅了されてしまうに違いない。
すでにオフィシャル・リリースも多い S.l.a.c.k. や RAU DEF、SIMI LAB の面々をはじめ、AKLO や KLOOZ、Cherry Brown らと並んで、SALU が次代を担う存在だということは、耳の早い日本語ラップ・ファンの間では共通認識だろう。事実、ここ数年でクオリティの高い作品が続いている界隈だけに、2012 年の盛り上がりにも大いに期待したいが、年の始めからこりゃまた随分と高いハードルが設定されたものだ。控えめに言っても、この『In My Shoes』は後続の面々が超えるべきひとつの基準となるに違いない。
01. BALANCE
02. BURN IT
03. STAND HARD
04. JUST A CONVERSATION
05. DAREDEVIL
06. ITS YA BOY..
07. THE WATCHER ON WOODS
08. KAZE
09. TAKING A NAP
10. BUTTERFLY EFFECT
11. THE GIRL ON A BOARD feat. 鋼田テフロン
12. IN YOUR SHOES
13. 夢から醒めた夢
14. TO COME INTO THIS WORLD feat. 鋼田テフロン